Kupchik (2011) を眺めていたところ、Kupchik が上代東国語 (海外の上代日本語研究家が言うところの Eastern Old Japanese (EOJ)) と、上代中央語 (Western Old Japanese (WOJ)) の語形差異として、清濁異同をいちいち挙げているのに目がついた。
例えば、「坂」を「佐賀サガ (20/4402)」、「咲けども」を「佐家登母サケトモ (20/4323)」 のような類である。
確かに上代東国歌謡で清濁仮名の異同が多いのは気がついていたのだが、清濁混用の万葉仮名は多いし、中古に入って平仮名・片仮名が出来れば清濁は書き分けられなくなるし、表記の問題ではあっても、東国語の音韻の問題ではなかろうと考えるのが通常だ。
とはいえ、言われて見ると、あらためて興味を覚え、念のため調べてみることにした。
結果を予め言っておくと、やはり音韻の問題ではなく表記の問題であろうというのが結論になる。