「音便の法則」本論において、音便は下記の形で生成されたものだとした。
- 狭母音は、子音を硬口蓋化(イ段音節の基本的に全ての子音)、唇音化 (ク、グのみ) する。
- 狭母音 ([i], [u]) が脱落する。
- 狭母音脱落によって発生した子音クラスターの発音を簡単にする観点で以下の変化を起こす。
- 子音本来の一次的調音と硬口蓋化/唇音化による二次的調音のうち、より前面にあるもののみを残し、背面にある調音が消失する。
- 調音方法は、破裂音・接近音 (半母音) のどちらかに統一される。
- 硬口蓋音の場合、日本語に破裂音がないので半母音 [ j ] に、
- 歯茎音の場合は半母音がないので破裂音 [t] に、
- 唇音の場合は両方あるので [w] または [p] になる。
- この際、鼻音性 (濁音性) は保存される。鼻音の場合 [ j̃ ] [n] [w̃] [m] になり、さらに後続子音も濁音化する。
音便化する音節の子音が鼻音性を持つ場合だけでなく、後続する子音が鼻音性を持つ場合でも音便音は鼻音性を獲得する。(鼻音性同化) - [ j ] [ j̃ ] は、清音・濁音イ音便に、[w] [w̃] は、清音・濁音ウ音便に、[t] [p] は促音便に、 [n] [m] は撥音便になる。
詳しくは本論を参照していただくとして、ここで、上記 3-2「破裂音・接近音への統一」について、もう少し考えを進める必要性を感じた。
接近音化によって生じた音便(つまり、イ音便・ウ音便)は、モノによってかなり発生経緯・とり扱われ方が違うように思う。これを「接近音化する」と一口にまとめてしまっていいものかどうか。