前回に引き続き、天保暦の月食法。
方向角、つまり、初虧時において最初にかけ始める箇所、食甚時においてかけている箇所、復円時において最後にかけ残っている箇所の方向を計算する。これはつまり、各時において月中心から見て地球影中心のある方向であり、この方向を上方(天頂方向)を基準に上下左右で表現したものである。
現在、暦要項などの日月食記事において記載されている方向角は、上方(天頂方向)を 0° とし、反時計回りに測った角(左方=90°, 下方=180°, 右方=270°)である。寛政暦(暦法新書(寛政))においては、初虧限東では下方を起点に時計回りの角、初虧限西では上方を起点に反時計回りの角、復円限東では上方を起点に時計回りの角、復円限西では下方を起点に反時計回りの角、として算出されていたが、当ブログの式では、暦要項の基準にあわせ、上方を起点に反時計回りの角に統一して計算しておいた。
天保暦(新法暦書)の式では、「下方を起点に時計回りの角」(左方=90°, 上方=180°, 右方=270°)に統一されている。寛政暦での説明の仕方とは異なってくるが、この基準にあわせて以下説明していくことにしよう。