上代東国方言に特徴的な語法として、甲類オ段の四段活用動詞連体形、形容詞連体形「ケ」がある。
が、東国歌謡(東歌、防人歌)の連体形が全て、甲類オ段、「ケ」になっているわけでもない。
この辺りをどう考えていけばいいか、考えてみる。
(なお、読み進めていただいても、結局、結論らしいものは出ないので、あらかじめ言っておく)
上代東国方言に特徴的な語法として、甲類オ段の四段活用動詞連体形、形容詞連体形「ケ」がある。
が、東国歌謡(東歌、防人歌)の連体形が全て、甲類オ段、「ケ」になっているわけでもない。
この辺りをどう考えていけばいいか、考えてみる。
(なお、読み進めていただいても、結局、結論らしいものは出ないので、あらかじめ言っておく)
Kupchik (2011) を眺めていたところ、Kupchik が上代東国語 (海外の上代日本語研究家が言うところの Eastern Old Japanese (EOJ)) と、上代中央語 (Western Old Japanese (WOJ)) の語形差異として、清濁異同をいちいち挙げているのに目がついた。
例えば、「坂」を「佐賀サガ (20/4402)」、「咲けども」を「佐家登母サケトモ (20/4323)」 のような類である。
確かに上代東国歌謡で清濁仮名の異同が多いのは気がついていたのだが、清濁混用の万葉仮名は多いし、中古に入って平仮名・片仮名が出来れば清濁は書き分けられなくなるし、表記の問題ではあっても、東国語の音韻の問題ではなかろうと考えるのが通常だ。
とはいえ、言われて見ると、あらためて興味を覚え、念のため調べてみることにした。
結果を予め言っておくと、やはり音韻の問題ではなく表記の問題であろうというのが結論になる。
「音便の法則」本論において、音便は下記の形で生成されたものだとした。
詳しくは本論を参照していただくとして、ここで、上記 3-2「破裂音・接近音への統一」について、もう少し考えを進める必要性を感じた。
接近音化によって生じた音便(つまり、イ音便・ウ音便)は、モノによってかなり発生経緯・とり扱われ方が違うように思う。これを「接近音化する」と一口にまとめてしまっていいものかどうか。
「上代・先上代の日本語の動詞について考える」というテーマからは、ちょっと外れるのだが音便について考察してみたい。
音便といえば、促音便・撥音便・イ音便・ウ音便がある。これらは、どういうルールに基づいて選択されているのかというのが今回のテーマ。
このブログでは、上代日本語について、動詞を中心に、素人の手慰みで研究しているわけだが、資料として、万葉集、殊に上代東国歌謡を参照することが多い。
基本的には、語例・用例を拾ってくるために見ているわけなので、歌の意味自体は興味の範疇外であり、参照するのも、主に万葉仮名表記の原文で、現代語訳とか解説とかはあまり見ない。
なのだが、そうは言っても、語の同定のためには、歌の解釈もせざるを得ないので、一応歌の意味は考える。考えてわからないときは、解説等に頼ったりもする。
以前書いたのだが、小学館の日本国語大辞典の参照のため、Japan Knowledge のサイトに加入していて、そこで小学館の日本古典文学全集(以下、全集)を参照できるので、その万葉集の巻は、ちょこちょこ活用させてもらっている。
そうして訳・解説を読んでみれば、ああなるほどと思うところもよくある。
例えば、「寄そる」という動詞がちょいちょい出てくるのだが、いまいち意味がぴんと来ていなかった。
前回の投稿から随分と間が空いた。正直、考えに行き詰まった結果、ちょっと興味を失いかけていたので。
日を置いてみて考え直した結果、ちょっと思いついたこともあるので、久しぶりに書いてみる。
上代日本語の動詞活用形の起源 Ver. 2 の最終ステップ「Step 9: 第2次高母音化と、中央語/東国語/琉球語の分離」において、下表のような変化が起きたとした。
| 音形 | ea | eə | Cjə | λ | ɨi | ɨɪ | əe |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 中央語 | > ia > e | > iə > e | > Ce | y | > ɨ (イ乙) | > ɨ (イ乙) | əe (エ乙) |
| 東国語 | > a | 〃 | 〃 | r | 〃 | 〃 | > e (エ甲) |
| 琉球語 | > ia > e | 〃 | 〃 | r? | > i | > ɪ > e | > e |