2021年8月1日日曜日

総目次: 江戸頒暦の研究

江戸時代、一般向けに頒布・販売されていた太陰太陽暦の暦(「頒暦」「仮名暦」などと呼ばれる)について、幕府天文方によって作暦された暦(貞享暦・宝暦暦・寛政暦・天保暦)の作暦方法を調べていく。


雑文


頒暦日月食記事との突合(天保暦)

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前回までで、天保暦における月食・日食の計算方法の説明が完了した。

今回は、記載した算出方法によって計算したものを、実際の天保暦の頒暦の記載と突合する。

2021年7月25日日曜日

天保暦の日食法 (8) 方向角

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前回は、天保暦の日食法の出入帯食、および、地方食の算出について説明した。

今回は、初虧・食甚・復円における方向角、出入帯食時の方向角の算出について。

2021年7月18日日曜日

天保暦の日食法 (7) 出入帯食、地方食

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前回は、天保暦日食法の初虧(かけはじめ)・復円(かけおわり)について説明した。

今回は、出入帯食(かけながらの日出、かけながらの日入)について。日出入時の食分を算出する。また、あわせて、

  • 食甚が見えない(よって頒暦の日月食記事に食甚情報を記載する必要がない)出入帯食において、食甚定真時を算出することなく初虧・復円を計算する方法
  • 地方食(京都以外の場所(江戸(東国)、長崎(西国)における日食)の計算方法

についても述べる。

2021年7月10日土曜日

天保暦の日食法 (6) 初虧・復円

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前回までで、天保暦の日食の食甚算出が完了した。今回は、初虧(かけはじめ)・復円(かけおわり)の算出を行う。初虧・復円は、月と太陽の視距離(両心視相距)が「併径」 であるときなので、そうなる時刻を漸近的に求めていくことになる。

2021年7月4日日曜日

天保暦の日食法 (5) 真の食甚時刻と食分

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引き続き、天保暦の日食法について。前回は、食甚近時・設時までを計算した。

今回は、近時・設時から食甚真時を求め、さらに、近時・真時から食甚定真時を求める。これを真の食甚時刻とする。そして、このときの食甚食分を算出する。

2021年6月27日日曜日

天保暦の日食法 (4) 食甚近時と食甚設時の位置計算

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前回は、天保暦日食法が地球輪内の観測者の位置をどのように計算しているのかについて解説した。そして、食甚用時の「東西差」(ヨコ方向のずれ)について新法暦書条文の計算方法を見、そして、食甚時刻の漸近計算の出発点となる時刻「食甚近時」「食甚設時」を求めた。

今回は、食甚近時・設時における観測者・月の地球輪内の位置計算を行う。食甚用時のところでは「東西差」のみが計算されていたが、食甚近時・設時では「南北差」等の量も計算する。

2021年6月20日日曜日

天保暦の日食法 (3) 食甚用時の東西差・南北差(観測者の位置)

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天保暦の日食法について説明している。

前回は、矮立円地(地球回転楕円体)に関する諸数の算出と、簡平の月(太陽から見た、地球輪への月の射影)の算出を行った。

今回は、地球の自転につれて、地球上の観測者が、太陽から見た地球輪内でどのように動くかを算出する。観測者の位置は、直交座標で「東西差」「南北差」として得られる。

2021年6月13日日曜日

天保暦の日食法 (2) 矮立円地(地球回転楕円体)・簡平の月(地球輪への月の射影)

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前回から、天保暦の日食法について説明している。前回は、視差を考慮しない(つまり、地球面上の観測者の位置を考慮せず、地心から見たときのものとして日食を観測したときの)食甚時刻「食甚用時」を算出した。

このあたりまでは、寛政暦の日食法や、寛政暦・天保暦の月食法と変わりばえがしなかったが、今回説明する箇所は、今までとまったく別の考え方で計算されている。

これはなぜかというと、天保暦の日食法においては、地球が真球ではなく、赤道方向が膨らんだ回転楕円体であることを考慮しているからである。このためには、寛政暦の日食法の延長で計算するのは難しく、全く新たな計算方法によっているのである。

2021年6月6日日曜日

天保暦の日食法 (1) 実朔実時と食甚用時

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前回までは、天保暦の月食法について説明していた。今回からは、天保暦の日食法の説明に入る。天保暦の日食法は「新法暦書 巻四」に記載されている。

寛政暦と比べたとき、天保暦の日食法が異なる最大のポイントは、地球が真球ではなく、赤道方向に膨らんだ回転楕円体であることが考慮されているところである。

月食は、地球の影が月面に落ちる現象であり、月面に落ちた地球の影は、月が見えている限り、地球上のどこに観測者がいても同様に観測することができる。一方、日食は、月の影が地球に落ちる現象であり、地球に落ちた月の影を地球表面にいる観測者は見ることが出来ず、ただその影のなかにいる観測者のみが、日食という事象として影が落ちていることを感じることができる。

よって、日食の計算をするにあたっては、太陽の位置・月の位置だけでなく、観測者の位置も重要である。寛政暦の日食法においては、観測者の位置により変わる月の見える方向のずれ、すなわち、月の視差を算出することにより、これが計算されていたのであった。しかし、この計算は暗黙裡に地球が真球であることを前提にしたものである。 「北緯 35°.01 にいる観測者が、真太陽時○○時○○分にいる場所」を考えるとき、地球が真球である場合と、回転楕円体である場合とで、若干ずれがある。天保暦の日食法では、これを考慮している。

とはいえ、今回説明するのは、食甚用時(観測者の位置による視差を考慮しない食甚時刻)の算出まで。まだ今回は、視差を考慮していないので、上記の話には至らない。

2021年5月30日日曜日

天保暦の月食法 (3) 方向角、地方食

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前回に引き続き、天保暦の月食法。

方向角、つまり、初虧時において最初にかけ始める箇所、食甚時においてかけている箇所、復円時において最後にかけ残っている箇所の方向を計算する。これはつまり、各時において月中心から見て地球影中心のある方向であり、この方向を上方(天頂方向)を基準に上下左右で表現したものである。

現在、暦要項などの日月食記事において記載されている方向角は、上方(天頂方向)を 0° とし、反時計回りに測った角(左方=90°, 下方=180°, 右方=270°)である。寛政暦(暦法新書(寛政))においては、初虧限東では下方を起点に時計回りの角、初虧限西では上方を起点に反時計回りの角、復円限東では上方を起点に時計回りの角、復円限西では下方を起点に反時計回りの角、として算出されていたが、当ブログの式では、暦要項の基準にあわせ、上方を起点に反時計回りの角に統一して計算しておいた。

天保暦(新法暦書)の式では、「下方を起点に時計回りの角」(左方=90°, 上方=180°, 右方=270°)に統一されている。寛政暦での説明の仕方とは異なってくるが、この基準にあわせて以下説明していくことにしよう。

2021年5月23日日曜日

暦要項の令和三年月食記事と、天保暦法で算出した月食とを比較してみる

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こんなことをすることにあまり意味はないと承知しているのだが、ふと思い立ったので計算してみる。

2021/5/26(水) には、皆既月食が起こる。暦要項などにどのような食となるのか計算して予報されている。これを、天保暦の月食法で計算するとどうなるのだろうか。

「意味がない」というのは、天保暦が現用されていた 1844~1873年から遠くはなれた現在において、賞味期限切れも甚だしい天保暦暦法を当てはめるのはフェアな態度ではないだろうから。

まあ、それはわかっているのだが、ちょっと興味本位でやってみることにした。

天保暦の月食法 (2) 食甚食分、初虧復円時刻、出入時食分

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前回より天保暦(新法暦書)の月食法について解説している。

前回までで、食甚時刻の算出までが完了した。今回は、食甚食分を算出と、初虧・復円時刻の算出を行う。また、帯出入時の食分の算出についても説明する。

寛政暦の月食法の相当箇所と、概ね同様の計算であるので、そちらも参考にされたい。

2021年5月16日日曜日

天保暦の月食法 (1) 実望・食甚時刻

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 前回まで、寛政暦の日月食法について説明してきた。今回からは、天保暦の日月食法について説明する。まずは月食法からだが、正直、天保暦の月食法は寛政暦の月食法と大差ない。寛政暦と計算方法が同じところについては、詳しくは説明しないので、寛政暦の月食法を読んでからこちらを読むことをお勧めする。

天保暦の月食法が、寛政暦の月食法から改められている点をいうと、

  • 寛政暦の月食法では、月出入時刻は、月離で記載されていた月出入時刻の算出法は用いず、太陽の入出時刻と等視されていたが、天保暦では、ちゃんと月出入時刻を使っている。
    • 地球影は、太陽の真裏に位置し、また月食が起きるときは、月は地球影の近傍にある。よって、太陽が西地平線にあって沈もうとしているとき、月/地球影は東地平線にあって昇ろうとしているはずで、太陽が東地平線にあって昇ろうとしているとき、月/地球影は西地平線にあって沈もうとしているはず。よって、月出入時刻のかわりに日入出時刻を代用できるわけである。
      が、これは、月/地球影の視差を無視している。地平視差(地半径差)は 1° 近くあり、地平線近くの月/地球影は、それだけ下方に沈み込んで見える。よって、月/地球影の出入は、太陽の入りより 5 min ほど遅く出、太陽の出より 5 min ほど早く入るはずである。
      寛政暦の月離の月出入時刻算出法は、どのみちこの効果を含めて算出していなかったが、天保暦の月離の月出入時刻算出法は、ちゃんと、この効果を含めて計算している。
  • 寛政暦では月の視半径は、月と地球の間の距離から算出していた。天保暦では、月の視半径独自のフーリエ級数展開式がある。
    また、地平線上の月を見るときより、天頂方向の月を見るときのほうが、観測者は地球の半径分だけ月に近いので、月の視半径が若干大きく見える (※)。この効果を計算に入れている。

ぐらいが、主なところか。

2021年5月9日日曜日

頒暦日月食記事との突合(寛政暦)

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前回までのところで、寛政暦における日月食の算出方法の説明を終えた。

今回は、記載した算出方法によって計算したものを、実際の寛政暦の頒暦の記載と突合する。


2021年5月3日月曜日

寛政暦の日食法 (8) 帯食の食分・方向角、地方食

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前回で、寛政暦の日食法の初虧・復円算出まで完了した。今回は、帯食の算出。あわせて、地方食(京都以外の地点での日食の算出)について。これが、寛政暦の日食法説明の最終回となる。

2021年4月24日土曜日

寛政暦の日食法 (7) 初虧復円本法

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前回は、初虧復円時刻の算出において「又法」による算出の説明を行った。今回は、「本法」における算出を説明する。私が実装にあたって採用したのは「又法」なので、「本法」のほうはデバッグが不十分かも知れないが、ご容赦いただきたい。

2021年4月18日日曜日

寛政暦の日食法 (6) 初虧復円又法

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前回までで、寛政暦日食法の食甚計算までが完了した。

今回は、初虧(かけはじめ)、復円(かけおわり)の計算。食甚計算に「本法」と「又法」とがあったが、「本法」「又法」それぞれに初虧復円計算法がある。食甚のところでも、まず「又法」から説明したので、「又法」の初虧復円計算の説明から始める。また、方向角の算出についても、併せて説明する。

2021年4月11日日曜日

寛政暦の日食法 (5) 食甚本法 (2) 食甚設時・真時・定真時

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寛政暦の日食法において、食甚を求める漸近計算を行うふた通りの解法「本法」「又法」のうち、「本法」の説明を行っている。

前回は、食甚用時(視差を考慮しない月の位置が太陽に最接近する時刻)を求め、また、食甚用時における月の視差計算を行った。

今回は、「設時」を設定し、用時と設時の間を一次補間して「真時」を求め、さらに設時と真時の間を一次補間して「定真時」を求める。「定真時」が真の食甚時刻となる。

また、食甚における食分と方向角も算出する。

2021年4月4日日曜日

寛政暦の日食法 (4) 食甚本法 (1) 食甚用時の視差計算

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寛政暦の日食法について説明している。

前回までで食甚又法の説明が完了した。今回からは、日食甚計算の別解「食甚本法」について。実のところ、私が実装に用いたのは「又法」なので、「本法」については、バグっているところもあるかも知れない。